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初めてのトップリーグ入れ替え戦に敗れ、スタンドへあいさつする釜石の選手たち
◆ラグビー トップリーグ入れ替え戦 釜石SW11-6クボタ(14日、埼玉・熊谷ラグビー場)
TLまであと1勝、届かなかった。それでも釜石フィフティーンの目に、涙はなかった。NO8須田康夫主将(31)は「チームとして成長できた一年だった。もっと執着心を出して戦えば(TLまで)届かない距離ではないと思う」。TL勢と公式戦で初めて対決し、悔しさを上回る大きな自信を得ていた。
2季前のトップイーストで0―75と大敗したクボタを相手に、序盤は互角の戦いを見せた。前半9分に敵陣ゴール前中央のラックから左に展開しFB沼田がトライ。前半を5―13で折り返した。しかし風下となった後半は自陣での戦いを強いられ、反撃の芽を摘まれた。
練習で左足首を捻挫して欠場した現役最年長43歳の元日本代表ロック伊藤剛臣は「TLとの差は縮まっているが、一つのミスが命取りになる」とプレーの精度を課題に挙げた。自身の進退を問われ「いけるところまでいく。死ぬまでやるんじゃないですか」と現役続行を宣言。「我々は一歩一歩階段を上っている途中ですから」。“北の鉄人”は、完全復活へ再びスタートを切る。(勝田 成紀)
ラグビーのトップリーグ、神戸製鋼は13日、来季のヘッドコーチ(HC)に南アフリカ代表のコーチとして2007年のワールドカップ(W杯)優勝に貢献したアリスター・クッツェー氏(51)が就任すると発表した。
クッツェー氏は10年から世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」のストーマーズでHCを務め、12年に南アフリカ協会が選ぶ年間最優秀コーチ賞を受賞した。ストーマーズとの契約を終えた後の7月ごろに来日を予定している。神戸製鋼を通じて「大変名誉なこと。新しい環境で自分自身を試せることがとても楽しみ」とコメントした。
前任のギャリー・ゴールド氏に続いて南アフリカ出身の指導者を迎えることに、平尾誠二ゼネラルマネジャーは「2年以上はやってもらいたい。ギャリーが築いた守備を固める方向性を変える気はない」と話した。
スタンドの応援団に向かって喜ぶ帝京大フィフティーン
前半10分、トライを決めた帝京大・松田(右はNEC・田村)
◆第52回ラグビー日本選手権第1日 ▽1回戦 帝京大31―25NEC(8日、東京・秩父宮)
学生最強軍団がトップリーグ(TL)の壁を破った。大学選手権で前人未到の6連覇を果たした帝京大が、ワイルドカードを勝ち上がったTL10位のNECを31―25で破る大金星を挙げた。大学生がTL勢を破るのは、05年度に早大がトヨタ自動車に勝って以来9大会ぶり2度目。前半を17―17で折り返し、20―20の後半20分にPGで勝ち越し。同35分に1年生ウイング尾崎晟也(せいや)のトライで勝負を決めた。15日の2回戦で、TL3位の東芝に挑む。
ロスタイムのPGで帝京大SO松田が右足を振り抜いた直後、待ちわびた試合終了の笛が響いた。深紅のジャージーの選手たちが顔をくしゃくしゃにして抱き合う。大学選手権6連覇達成でもなかった光景。166センチ、73キロのSH流主将は「目標の打倒TLを達成できてうれしい。充実した楽しい80分間だった」と童顔をほころばせた。
追いつ追われつのシーソーゲームこそ、歴史的勝利への方程式だった。前半6分に先制されたが、流は「最初に体を当てた感触で『全然いける』と思った」。勝ち越した直後の後半23分に追いつかれても「ここが自分たちの楽しい時間だ」と声を掛け合った。岩出雅之監督(56)は「クロスゲームに持ち込めば持ち込むほど我々のエネルギーがさく裂する。シナリオ通り」と明かした。
近年のTLはニュージーランド、オーストラリアなど強豪国の代表で活躍するトップ選手や指導者が多数参戦。リーグのレベルも向上し、早大がトヨタ自動車を下した05年度以降、大学との実力差は開く一方だった。無敵の大学王者が「打倒TL」を掲げたのは2年前。サントリーやTL王者パナソニックなどと合同練習を重ねた。今季はOBでパナソニックのコーチも務める相馬朋和FWコーチ(37)が就任。NEC対策も助言した相馬コーチは「パナでうまくいっていることは、ほとんど帝京に持ち込んだ」と言い、フッカー坂手は「スクラムでヒットした瞬間もブレなくなった」と絶対の自信を得ていた
来季はW杯イングランド大会、日本が新規参入するスーパーラグビーの開幕が重なり、日本選手権が現行方式で開催されるかは不透明だ。日本協会の矢部達三専務理事(71)は19年W杯日本大会に向け「TLの一角を破ったのはいいこと」と評価したが、来季の選手権への学生の出場機会は保証されていない。
流は「もしなくなるのであれば、最後に学生でTLに勝ったのが自分たちになる。それもモチベーションだった」と打ち明けた。2回戦は日本選手権6度の優勝を誇る東芝に挑む。「チャンスはあると思う」。大学ラグビーの歴史に再び新たな歴史を刻む。(勝田 成紀)
◆帝京大ラグビー部 1970年創部。グラウンドは東京・日野市。部員数142人。78年に関東対抗戦に加盟し、優勝5度(08、11~14年)。大学選手権は83年に初出場し、08年度に準優勝、09年度から6連覇中。主なOBは、日本代表のフッカー堀江翔太(パナソニック)、フランカーのツイ・ヘンドリック(サントリー)ら。